補中益気湯
Q:「補中益気湯とはどういう漢方ですか?」に、お答えします。
A:「医王湯」とも言われ、漢方薬の代表ともいってよいくらい万能薬で、広く虚弱状態のある方に対して用いられます。
漢方薬は、「なんとなく体に優しそう」というイメージもあり、とっつきやすいところがメリットかと思います。
どうしても味が苦いのと(これも漢方によりますが)、基本的には粉であることを乗り越えていただけるのであれば、治療の選択肢の1つになると思います。
漢方薬は、保険収載(保険適応されるもの)されているものだけで100種類以上あり、心療内科、精神科といったメンタルの領域で有名な漢方もいくつもあります。
補中益気湯は、「医王湯」とも言われ、漢方薬の代表ともいってよいくらいの万能薬で、広く虚弱状態のある方に対して用いられます。
エキス製剤の番号は41番です。
我々、心療内科、精神科ではもちろん、内科、外科など多く科の先生方も処方されます。
「中」とは、現在の西洋医学で言うところの消化器に相当します。
「中(=消化器)」を補い、「気」を益す(増やす)、という意味の名称となります。
補中益気湯は、柴胡剤の1つとして分類されます。
柴胡(さいこ)とは生薬の1つで、漢方薬を知るうえで大変重要です。
セリ科のミシマサイコ、またはその変種の根です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%B3#:~:text=%E3%83%9F%E3%82%B7%E3%83%9E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%B3%EF%BC%88%E4%B8%89%E5%B3%B6%E6%9F%B4%E8%83%A1%E3%80%81Bupleurum,%E3%81%AF%E3%82%BB%E3%83%AA%E7%A7%91%E3%81%AE%E5%A4%9A%E5%B9%B4%E8%8D%89%E3%80%82
Wikipediaにもあるように、この学名の由来はまさに日本で、ミシマとは現在の静岡県の三島に由来します。
ただ乱獲が原因で、現在日本原産のものは少なく、輸入が多くなっています。
効能は、配合によって異なり、大変幅広いのですが、特に精神領域において、疏肝解鬱といって、肝気気滞を開通させる効果があります。
柴胡が入っている方剤を柴胡剤と言いますが、補中益気湯は柴胡剤のうち、最も虚証向けと言えます。
主剤(構成生薬のうち中心に位置づけられる生薬)は、人参、黄耆で、これは「補気」と言い、「気を補う」効果があります。
よって、心療内科、精神科領域は、活気がなく、全身倦怠感が著明で、食欲はなく、言葉に力もないといった方に用います。
ちなみに、いわゆるアトニー状態(筋緊張の低下)の改善にも効果があります。
そのため、意外に思われますが、胃下垂や脱肛、子宮脱など、筋緊張低下によって起こる疾患にも適応があります。
補中益気湯は、生薬の構成が非常に巧みで、多層的に効果がみられるようになっていることから、「古今名方中の傑作」とまで呼ばれています。
倦怠感の強い方は、一度は試してみる価値があります。
ご興味のある方は、診察時にご相談ください。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)をよろしくお願いいたします。