こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「大人のADHDの『治療』について教えて下さい」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

大人のADHDの“治療”(この言い方はやや語弊があるかもしれませんが)は、主に、薬物治療心理社会的療法が行われています。

 

 

薬物療法に関しましては、以前にも同コラムに記載させて頂きました通り、

代表的なものとしまして、ADHDの中核症状でもあります多動・不注意に有効とされるストラテラ等の投与が、挙げられるでしょう。

そして、もしもADHDに起因する不適応や不安、抑うつといった二次障害が

見られた場合、その症状に奏功する投薬が先に行われる場合もあります。

 

 

そしてその一方で、大人のADHDに対する治療法として、

心理社会的療法である「認知行動療法」が注目を集め始めています。

 

 

認知行動療法とは、その人個人の「認知」や「行動」に焦点を当てて、

その方の「苦手」「不得意」とされる状況や場面、シチュエーションに対して、

どのように対処・対応をしたり、考え方を変容させたりすると、

その方にとって、より気持ちを楽にすることが出来るか等を、

1対1の個人療法や、複数の方による集団療法といった枠組みで行っていきます。

そのことによって、自己の特性へのより深い理解と問題解決能力、

セルフコントロール力を養い、向上させていくことを目指した治療方法です。

 

 

 

認知行動療法では、個人の認知(=物事の受け止め方や捉え方)のパターンや、

その方の「信念(ビリーフ)」の特徴を把握し、

それが“不合理なもの”であったり、

ご自分が“生きにくい”状況に至る要因となっていたりするようであれば、

ご本人が納得して“受け入れられる”別の認知や信念への変容や修正を促します。

(強制や押し付けでは、あまり意味がないどころか、

却って逆効果にもなりかねませんので、その点は充分な注意が必要でしょう)。

また、この治療法には、心理教育(疾病の特性理解)も含まれています。

 

 

 

大人のADHDの治療の前提として最も重要なことは、

ADHDという特性(疾病)へのご本人の正しい理解です。

 

 

それは即ち、

①自分自身のADHDによる行動特性を理解し、

②その行動特定を肯定的に受け入れて、

③その行動特性を変化させるために立ち向かう気持ち(勇気)を持つ。

――このことに他なりません。

 

 

 

多くのADHDの方々は、これまでの人生において、周囲や他者から、

「だらしがない」「真剣に物事に取り組もうとしていない」等といった、

心無い非難を受け続け、その結果、強い自己否定的な感情に襲われています。

しかし、そういった事柄が、ご本人の「やる気」といった問題ではなく、

ADHDという特性(疾病)に拠るものであることを認識されることで、

仕事や人生への取り組み方にも大きな変化が生じていくのです。

 

 

 

 

 

今回は、大人のADHDの治療について『概説』をさせて頂きました。

このコラムを読まれて、

ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症含むをはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、

睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。