医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)でございます。
当院にご興味下さり、誠にありがとうございます。
Q:「当帰芍薬散とはどういう漢方ですか?」に、お答えします。
A:巷では「女性三大漢方薬」の1つと言われ、特に女性の虚弱体質に対して用いられます。
漢方薬は、「なんとなく体に優しそう」というイメージもあり、とっつきやすいところがメリットかと思います。
どうしても味が苦いのと(これも漢方によりますが)、基本的には粉であることを乗り越えていただけるのであれば、治療の選択肢の1つになると思います。
漢方薬は、保険収載(保険適応されるもの)されているものだけで100種類以上あり、心療内科、精神科といったメンタルの領域で有名な漢方もいくつもあります。
当帰芍薬散は、「女性三大漢方薬」の1つと言われ、特に女性の虚弱体質に対して用いられます。
我々、心療内科、精神科ではもちろん、最近は産婦人科の先生方もよく処方されます。
かつて、「当芍美人」という言葉がありました。
これは、絵で見ていただいた方が良いと思いますが、竹久夢二の代表作、「黒船屋」で描かれている、夢二が愛していたという「彦乃」という女性がもっともわかりやすいと言われています。
ネットで検索していただくと、どなたも一度はご覧になったことがあるかと思います。
なお、余談ですが、彦乃は御茶ノ水の順天堂医院に入院し、そのまま他界しました。
この順天堂医院は、現在の順天堂大学につながります。
一方で、現在漢方薬メーカーの最大手であるツムラは、もともと「津村順天堂」という名称の企業でした。
「津村」は創業者の津村重舎から採られていますが、「順天堂」は順天堂大学とは関係がないようです。
明治時代、「天道に従う」という意味の「順天」は、広く用いられていたようです。
まだ駆け出しだったころ、ベテランの先生が万年筆で手書きの処方箋時代に、ツムラの処方を「TJー〇〇(番号)」と書いていたのを今でも覚えています。
例えば、当帰芍薬散なら23番ですので、「TJ-23」と書きます。
電子カルテが普通となった現代では、もはや見ることはないでしょうが、今振り返るとなんとも味のある処方箋でした・・・。
さて、脱線しましたが、いずれにしても、色白でか細い女性に合うのが「当帰芍薬散」となります。
色白、やせ型、なで肩、冷え症で、貧血、腹痛、めまい、全身倦怠感、月経不順などがある方に処方されます。
これもかつてですが、漢方の大家の先生は「安産薬」であるとして、妊娠中も内服を勧めていたようです。
ゼロリスクが求められる現代では、最早決してみられないとは思いますが、一応その根拠としては、以下の古典の記載があります。
婦人懐妊中腹中疼痛スルハ当帰芍薬散之ヲ主ル。(金匱要略・婦人妊娠病篇)
妊娠中の是非は別にしても、それほど安全して内服できる薬であるということは言えるでしょう。
ご興味のある方は、診察時にご相談ください。
今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)をよろしくお願いいたします。