今回は、『看護覚え書』(フロレンス・ナイチンゲール著)に見る「こころ」の11回目です。
よろしくお願いいたします。
(P165 おせっかいな励ましと忠告 より)
「おせっかいな励まし」とは、まことに奇妙な標題であると思われるであろう。しかし私は固く信じているが、およそ病人を悩ませ病人に忍耐を強いるものとしては、友人たちから寄せられるこの矯正できない励ましの言葉かけ以上のものは、他にほとんど類がないのである。
「うつ病の方を励ましてはならない」は、(少なくとも医療業界では)あまりに有名です。
なぜ励ましてはならないのでしょうか。
それは、うつ病の方が辛い中仕事や日々の生活を一生懸命に頑張っているからです。
一生懸命やっているのに、さらに周囲から「もっと頑張れ」と言われて、「よし、やろう!」という気持ちになるでしょうか?
「こんなに頑張っても、まだ不十分なのか」「もう無理だ」と思っても、それがその方の「弱さ」という一言で片づけられるでしょうか?
「わかってもらえてない」という思いだけが強まり、関係性が壊れかねない可能性すらあるでしょう。
もちろん、励まそうとする方は「(この人なら)できるはずだ」「勇気づけたい」「応援したい」という善意から仰っていることがほとんどです。
そのお気持ちは大変貴重ですし、本当にありがたいです。
しかし、ならばこそ、もう一歩、悩んでいる方の気持ちに思いを馳せていただければと思わずにはいられません。
そうすれば、そこにとても暖かい想いが生まれ、励ましの言葉より何倍も価値あるものとなり、悩める方を包み癒すからです。
(次回に続きます)