今回も、『看護覚え書』(フロレンス・ナイチンゲール著)に見る「こころ」をお送りいたします。
前回に引き続き、序章からの一節です。
序章だけで重要な部分がたくさんあるため、長くなって申し訳ございませんが、お付き合いいただければ幸いです。
では、よろしくお願いいたします。
(P14 序章 より)
ナイチンゲールは、クリミア戦争に従軍して赴任した病院で、当初は蚊帳の外の扱いでした。
しかし、それにはまったくめげず、病院にいる負傷兵に対して食事も満足に与えられず、大変不衛生であった環境であったため、そこから介入していくことで、周囲の尊敬、信用や信頼を勝ち取ったという逸話があります。
(お恥ずかしいですが、ナイチンゲール個人の人生や業績にはあまり詳しくないため、これ以上記載できず、申し訳ございません・・・。)
そういった経験から得たと思われる上記も、現代でも重要であることは自明でしょう。
もちろん、狭義の”疾患による症状”があるのも当然ですが、一方で土壌たる日々の生活環境が不十分であるがゆえの症状もあります。
そのような環境では、疾患を治療するための療養はとても成り立つはずもなく、疾患の治癒も見込めないでしょう。
さらに、精神疾患の場合に踏み込むと、そういったものの背後にある人間関係も大きな要素となります。
例えば、うつ病の方がご家族と同居されていて、そのようなものが”物質的に”提供されていたとしても、ご家族が「怒りながら」「叱りながら」「嫌味を言いながら」、あるいは「嫌そうな表情で」「なかば無視したように」でしたら、どうでしょうか。
もちろん、ご家族も色々なお気持ちはお持ちでしょうし、ご家族自身のお仕事などでお疲れもあるでしょう。
それは大変お辛く、ケアされるべきものですが、それを患者さんにぶつけても、お互いに悲しい思いになるだけではないでしょうか。
ご家族だからこそ、ご家族にしかしていただけないことがたくさんあります。
患者さんだけでなく、ご家族にも幸せになっていただく、それが治療の最終目標なのです。
(次回に続きます)