こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「発達障害です、仕事の優先順位がつけられず困っています」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

自閉スペクトラム症(以下、ASD)、ADHDのある方ともに、

発達障害のある方は「仕事の優先順位がつけられない」という困難が頻繁に起こります。

 

ASDの方の仕事が山積してしまう理由としては、

全体と部分の把握の困難性(=メタ認知の困難性)と、

この先の展開を考えることの問題(=イマジネーションの障害)という

この2つの特性が大きく関わっています。

つまり、つい目の前の作業に没頭・集中する余り、

他の仕事や作業(時にはそれは今取り掛かっている作業より優先度が高いこともあるでしょう)が目に入らなくなってしまうのです。

 

ADHDの方のご理由には、前回記載させて頂きました「衝動性」や「不注意」といった特性が関わってきます。

「衝動性」により、頭の中が混沌としてしまい、思考を適切にまとめることができなかったり、

「不注意」により、何かやっているときに別の仕事が入ると、今やっていることをすっぽりと失念してしまったりすることで、

こういった事態が引き起こされてしまうのです。

 

そこで、ASDの方、ADHDの方、双方に使える対処法として、

To Doリスト」を仕事を始める前、朝一番に作成するというものがあります。

仕事のスタートは To Doリスト作りから!」と考えてしまっても良い位です。これはぜひ習慣化してしまいましょう。

改まったものでなく、メモ程度のもので十分ですので、

自分のために“視覚化”するのです。

 

本日行おうと思っていた仕事をまず思いつくまま書き出し、

「確実に本日中に行いたい仕事」かどうかのチェックを入れ、

それを重要度が高い順番に①、②、③、④………といったように並べ変えます。

もし、ご自分がつけた優先順位に自信が持てないようならば、

上司にリストの確認をお願いすることも有用でしょう。

 

この作業を行うことにより、

的確な優先順位で、かつ、他に抱えているタスクや作業を失念してしまうことなく、仕事に取り組むことが出来ます。

そして、終わった仕事は、二重線やマーカーで引いて、

「終わった!」という達成感をぜひ味わってください。

 

もし、途中で予定外の仕事の指示がなされた場合は、

いったん今行っている作業の手を止めて、

そのタスクをリストのどこに入れるかを、考えて決定してから、作業に戻ると良いでしょう。

 

この「To Doリスト」は、非常に使えるツールです。

繰り返しになりますが、「出社して一番最初に行う」ことが何よりのポイントです。

朝、まだ全体的に業務も動き始める前であり、周囲も静かで雑音も入らず、

かつ、ご自身の思考もクリアーな状態で行うことを推奨します。

社会人あるあるですが、間違ってもこの貴重な時間帯に、PCメールのチェックなどは行わないほうが賢明でしょう。

 

当院では、ASD、ADHDをはじめとした発達障害、あるいは発達障害傾向によって、社会適応に困難が生じてしまわれている方々への、心身両面からの治療と支援を行っております。

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願いいたします。