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【心療内科Q/A】「ADHDと自閉スペクトラム症の関係について教えて下さい」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

ADHDと自閉スペクトラム症(以下、ASD)は、極めて類似点が多く、

ADHDとASDが併存するケースが多いことは、

これまで数多くの研究で指摘されてきました。

 

 

そのため、ADHDとASDの併存という状態像が、

異なる2つの障害の重なりなのか、

それとも何かしらの共通基盤を持つ方々の症状が

別の障害として判断され扱われているに過ぎないのか、

これらについては目下、研究や議論が進められているところです。

 

 

ただ一般的に、ADHDとASDが併存されている場合、

それぞれ単独のケースよりも、

顕在化する症状の数や重症度が増すことは指摘されています。

 

 

 

そして、一見「同じ訴え(症状)」として捉えることができるものが、

この両者には多いことも事実です。

但し、きちんと診察をし、状況を伺っていきますと、

ADHDなのか、ASDなのか(あるいは、どちらがベースになっているのか)は、

その訴えの背景にある要因がかなり違うことが分かってきます。

 

 

 

例えば、「勉強や仕事に時間が掛かってしまう」ということに対しては、

ADHDの場合ですと「実行機能障害による段取りの不得手さ」

ASDの場合ですと「正確に行おうとする余り、確認の時間が掛かってしまう」

といった背景要因が考えられるでしょう。

 

 

 

「教室や職場で興奮してしまいやすい」ということに対しては、

ADHDの場合ですと「情動が上手く制御しづらいこと」

ASDの場合ですと「集団に適応することに過剰な緊張が生じてしまうため」

といった背景要因が考えられます。

 

 

 

他にも、「相手の指示が入りにくい」ということに対しては、

ADHDの場合ですと「注意障害による聞き漏らしのため」かもしれませんし、

ASDの場合ですと「指示の意味が理解しづらかったため」かもしれません。

 

 

 

「何かと他者とトラブルを起こしやすい」ということに対しては、

ADHDの方ですと「衝動的に判断し、周囲からの承認待ちができない」ことに拠るのかもしれませんし、

ASDの方ですと「マイペースに判断したり、周囲の了解にまで気が回らない」ということに拠るのかもしれません。

 

 

 

 

このように、一見同じように見える症状であっても、

丁寧に問診をしていけば、ADHDかASDかの違いがかなり分かってきます。

勿論、発達障害かどうかを見極めるには、その現時点だけの状態像だけでなく、

今までの成育歴を鑑みたり、周囲からの情報を得る事も重要になってきます。

 

 

ただADHDとASDの関係性という問いに関しては、結局のところ、

濃淡が連続的に変わるグラデーションであり、非常に広い中間領域がある

という回答が、現時点での最適解となるのかもしれません。

 

 

 

このコラムを読まれて、

ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください

 

 

当院では、大人の発達障害(ASD、ADHDを含むをはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、

睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。