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心療内科・精神科で扱われる漢方薬Ⅰ

A.

漢方療法(漢方薬を用いた治療)では、心と身体を一つのシステムとして考え(心身一如)、その調和を図ることで、人間が本来持っている自己治癒力を活性化させ、病気を治していく、という考え方を基本としています。

 

 

漢方医学では、病気は、「気」・「血」・「水」のいずれかが変調を起こすことで、心身のバランスが崩れ、病気が発症すると考えられています。

 

 

この「気」・「血」・「水」の内、最も重要視されているのがです。気」とは、根源的エネルギーや気力等を意味しており、この「気」の変調が、精神的・神経症的変調に繋がりますまさに、精神科・心療内科で扱われている領域が、この「気」に相当する概念となってくるのです。

 

 

この「気」の異常は主に3つあり、気逆(きぎゃく)」「気鬱(きうつ)」「気虚(ききょ)」と言います。

 

 

「気逆」とは、「気が逆流している状態」であり、動悸、のぼせ、頭痛(発作性頭痛)、焦燥感(イライラ)、不安、発汗、発作…等といった諸症状を引き起こしてしまいます。そのため、漢方では気の流れを戻す作用」がある「桂枝(けいし)」「半夏(はんげ)」「黄連(おうれん)」等といった生薬が含まれるもの物を使います。その代表的な漢方薬としては、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」「黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)」等が挙げられるでしょう。

 

 

 

「気鬱」とは、「気の巡りが悪くなっている状態」であり、抑うつ気分、無気力、腹満、胸や喉のつまり感…といった諸症状を引き起こしてしまいます。そのため、漢方では気を巡らせる作用」がある「厚朴(こうぼく)」「紫蘇葉(しそよう)」「香附子(こうぶし)」等といった生薬が含まれるものを使います。その代表的な漢方薬としては、香蘇散(こうそさん)」「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」「女神散(にょしんさん)」等が挙げられるでしょう。

 

 

 

「気虚」とは、「気が不足している状態」であり、気力が出ない、身体がだるい、疲れやすい、食欲不振…といった諸症状を引き起きしてしまいます。そのため、漢方では気を供給、産生促進させる作用」がある「人参(にんじん)」「白朮(びゃくじゅつ)」「黄耆(おうぎ)」「甘草(かんそう)」等といった生薬が含まれるものを使います。その代表的な漢方薬としては、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」等が挙げられるでしょう。

 

 

 

精神科・心療内科において、漢方薬による治療をご希望の患者様は、ぜひこの機会にご相談されてみられては如何でしょうか。

 

 

漢方薬はお一人おひとり、その方の体格や身体の状態をきちんと診て、最も適したものをお出しします。逆に言えば、漢方薬は「症状だけでは選べないものであるとも言えるのです(=同病異治」)。なお、これらの漢方薬は、当院のような心療内科では、健康保険適用で処方することが可能です。

 

 

 

このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、自律神経失調症、睡眠障害(不眠症)、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、

摂食障害、パニック障害、月経前症候群、心身症、

統合失調症、強迫性障害、過敏性腸症候群など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。

 

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出典:現場で使える薬剤師・登録販売者のための漢方相談便利帖症状からチャートで選ぶ漢方薬 杉山卓也著

参考資料:「Kampo Viewhttps://www.kampo-view.com/