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【心療内科 Q/A】「よい睡眠を得るために、昼間の悩みを寝床に持っていかないようにする理由とは?」

A.

医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

以前、健康な睡眠のために出来ることとは?というタイトルで、不眠に悩まれている方への10個のアドバイス(心理教育)をさせて頂きました。その中にありましたⅨ.昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょうの項目について、今回少し補足をさせて頂きたいと思います。

 

 

ご存知のように「睡眠」とは、それほど単純なものではありません。一般的に、睡眠には眠ってから目が覚めるまでの間に5段階あり、それぞれ第1層、第2層、第3層、第4層、REM(レム)睡眠、と名付けられています。第1層から第4層までをまとめて「non-REM(ノンレム)」睡眠と呼びます。REM睡眠の時には頭が活発に動いていて、それが夢をみることと関連していることをご存知の方も多いでしょう。

 

 

ですが、REM睡眠に続いて10秒間から90秒間くらい目が覚めているということをご存知でしょうか。よく眠れる方は、この短い時間に目が覚めたことを認識もせず、朝になっても覚えていません。逆に夜中に何度も目が覚める方は、これをよく認識されており、朝になってもよく覚えている方だと言えるでしょう。

 

 

ここに、昼間の悩みを寝床に持っていってしまうことの問題があります。REM睡眠では脳が非常に活発に働いていて、この直後の目が覚めている時にも、やはり脳の活動は活発です。ということは、ひと晩に4回から5回は「本格的に起きてしまうキッカケ」があるということになります。

 

 

もし不眠傾向の方が「昼間の問題を寝床に持っていった」としたら、ひと晩に4回から5回、その問題を考える機会を持ってしまいます。悩んで不安になってしまったら眠れないのは当然でしょう。眠るためにはそのような問題は、考えない方が良いのは明らかです。

 

 

それとは別に、そもそも夜中にあれこれ悩むことに“意味”があるのかという問題もあります。時間神経心理学と呼ばれる学問には興味深い研究結果がいくつもありますが、その一つは、何かを考える能力は一日中一定ではなく、時間によって大きく異なるというものです。

 

 

実は、脳は睡眠によって、全体が何時に眠りにつくわけではなく、脳の一部は他の部分が寝ついている時でも多少起きています。脳の中で真夜中にぐっすり眠っている部分は、実は物事を論理的に考える部分ですこの部分が上手く機能していない時は、ちょうど酔っぱらった状態と同じで、いくら悩みを解決しようとされても、空回りしてしまうだけなのです。

 

 

つまり、夜には考える能力が落ちていることが殆どなので、良い結論が出る訳がないのです。これが「昼間の悩みを寝床に持っていかない」ということのもう一つの理由です。

 

 

眠ろうとして横になっている時や夜中に起きてしまった時は、寝床の中で問題の解決法を考えたり、あれこれ心配したりしないで下さい。こうした状況を避けるためには、寝床に就く前に、“翌日”考えるべき問題をリストにして書き出しておくのが良いでしょう。もし夜中に目が覚めて、何か問題を思いついてしまったら、寝床から出てリストに加え、それ以上は考えないようにして下さい。

 

 

 

当院では、睡眠障害(不眠症をはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、心身症、

摂食障害、パニック障害、自律神経失調症、

月経前症候群、更年期障害、統合失調症、強迫性障害、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

また当院では、診察と一緒に、専門の心理士(臨床心理士・公認心理師)資格を持ったカウンセラーによるカウンセリング(心理療法)も行っております。カウンセリングをご希望される患者様は、診察時に医師にご相談下さい。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン新宿ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。