こころのペリカン便り

Column

【心療内科 Q/A】「『寝逃げ』って何故起こるのでしょう?」

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

 ストレスがかかった時、人はとても不思議な反応を示すことがあります。

 

 

人が何かのストレスを感じ、その場から立ち去りたいという欲求に駆られた時、いつもより睡眠が多くなってしまったり、会社の方向とは別の電車に飛び乗ってしまったり、という行動が見られることがあります。

 

 

睡眠は心身の疲労の回復にとても役立ちますので、決して悪いことではなく、ある意味では疲れを取るのに必要としているからこそ過眠になっているとも言えます。実際に、6時間睡眠者で有意に自殺率が高いという調査結果が出され、7時間の睡眠時間においてうつ病は最も低いと発表されています。

 

 

それだけ睡眠は健康維持に欠かせないものとなります。しかし、本人の意思とは関係なく、あまりに寝すぎてしまったり、ストレスから回避しようとして寝ることをひたすら選んでしまうようになったりすると何も解決に結びつかず問題の先送りのみでかえってストレスになるという心理状態となり、不安になるでしょう。

 

 

精神分析的立場では、人間には無意識、前意識(普段から常々意識はしていないけれども、何かのきっかけで意識されるもの)といわれる存在があることを想定しており、本人は大きく意識していなくとも、身体が勝手に反応して、そのストレスから回避しようとするメカニズムが働くことがあります。

 

 

加えて自分で辛い気持ちを抱え、それについて考えるということはとても忍耐力のいることです。その営み自体がとてもしんどくて悩みに向き合うことが出来ず、てっとりばやくお酒を飲んだり、お菓子を食べたり、寝てしまったりという行動を伴いやすくもなります。

 

 

そういった行動は軽度であれば、ストレス発散になりとても良いのですが、メンタルの調子が悪い時や、ストレス耐性があまり高くない方がそういった方法に頼ってしまうと、社会生活を脅かすほどの引きこもりや過食、過度な飲酒、過眠状態、逃避などに陥ってしまうことがあります。

 

 

普段何気なく寝逃げがあるものの、社会生活に影響は及ぼさない程度であれば、それは健康を維持するために体が必要としている睡眠なのかもしれないので、無理にご自分を追い詰めず、適度に寝逃げされてみて下さい。そして寝たあとは、ストレスについてもう一度違う角度から見直してみる、書き出してみる、「ま、仕方ないか」と割り切ってみる、などそのストレスの内容によって対処を考えてみられては如何でしょうか。

 

 

また、普段から余暇や趣味のバリエーションを豊富にし、悩みを打ち明けられる人、サポートしてくれる人の存在を大切にしましょう。元々の人間関係で信頼できる他者との関係を築いている人は、PTSDなどの発症時も症状が悪化しにくいことが言われています。人間関係をこれから築いていく方はぜひアサーションなども活用しながら、一緒に考えていきましょう。

 

 

 

このコラムを読まれて、ご自分の現在のご状況として、

気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください。

 

 

当院では、睡眠障害(不眠・過眠)をはじめ、

大人の発達障害(ADHD、自閉スペクトラム症)、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、

パニック障害、自律神経失調症、月経前症候群、

統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。