こころのペリカン便り

Column

【心療内科Q/A】「大人の発達障害です、『転職』を考えていますが仕事選びのポイントを教えて下さい」【大人の発達障害】

A.

医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)です。

 

 

大人の発達障害の方(あるいは、その傾向の方)にとって、

職場や仕事がご自分に上手くマッチングするかどうかは、非常に大切な事柄です。

それが上手くいかない場合、発達障害の二次障害として、

適応障害、うつ病、不安障害……といった疾病が表出することすら起こり得ます。

 

 

そういった意味では、発達障害の方が、

どうしても今現在の職場での適応が困難で、かつ、

職場側に相談をされても配慮やサポート、フォローが見込めない場合、

「転職」を視野に入れていくのは止むを得ないでしょう。

 

 

転職を視野に入れられた際、重要になってくるのが、

的確な「自己分析」と「自己理解」に他なりません。

自分自身の得意ー不得意をしっかりと具体的に分析し、

出来るだけ「不得意」な業務が少なく「得意」が活かせる仕事内容であることが、

仕事の成績や意欲、パフォーマンスにも顕著に繋がっていくことでしょう。

 

 

 

そして、仕事内容のマッチングに加えて、

その職場の雰囲気や仕事のやり方についても、重要なポイントとなってきます。

就職をする前に、これらのことを知るためには、

大抵の会社の場合、そのチャンスは「面接」の時しかありません。

 

 

もちろん、「内定を得るだけで精一杯です」という考え方もあります。

しかし、「転職先でまた同じ轍を踏まないように、事前に情報を得ておこう」

という考え方もあることを、頭の片隅に置いておいて頂けましたら幸いです。

もし後者のように考えられた場合、

面接時に確認しておきたいポイントを以下に挙げておきます。

 

 

 

□「御社の職場の雰囲気や人間関係はいかがでしょうか」:相手が迷うことなく、家族的、仲の良い、交流が活発…等の回答を返された場合、職場内で頻繁なコミュニケーションを求められる可能性がある、と考えておいて下さい。

 

 

□「自分が担当する業務につきまして、マニュアルや研修制度は用意(設定)されているのでしょうか?」:この質問に対する回答が曖昧であったり、以前の会社でご自分が上手くいかなかった教えられ方(例:「OJT」や「先輩からの指導」等)であった場合は、前職と同じような問題・課題に直面されてしまう可能性はあるでしょう。

 

 

□「私の業務につきましては、明確に決められていますか。求人票に記載があった内容以外の仕事を受けたり、あるいは異動になったり、といった可能性はありますか?」自閉スペクトラム症(以下、ASD)傾向の方の場合、業務範囲が曖昧であったり、環境が大きく変化する異動があったりといった職場は、出来るだけ避けた方が無難でしょう。

 

 

□「御社の評価制度では、特にどんな点が重視されていますか?」:予め目標が定められ、その達成が評価と結びついているのであれば、ASD傾向の方には相性が良いでしょう。一方で、ADHDの方の場合には、一概には言えませんが、どちらかと言うと独創性・オリジナリティや新規開発・新規開拓等が認められる会社の方で、大きな評価が受けられる可能性があります。そういった意味では、障害一般よりは、自分個人の傾向をよく把握・分析された上で、それが有利になる評価制度であるかどうかを確認された方が良いでしょう。

 

 

以上の例は、あくまで発達障害によく見られる傾向を前提として、挙げています。

 

 

繰り返しになりますが、実際の所、発達障害の特性は、一人ひとり異なります

可能であれば、支援機関の助けも借りながら、

しっかりと自己分析を行われて、

自分にとっての“必要な条件”とは何なのか、

それを確認するためにはどのような“質問”をすれば良いのかを、

よくよく相談・検討されるのがベストだと思われます。

 

 

 

このコラムを読まれて、

ご自分の現在のご状況として気になる点がありました方や、

興味・関心を抱かれた方は、

どうぞ当院まで、お気軽にお問い合わせください

 

 

当院では、大人の発達障害(ASD、ADHDを含むをはじめ、

うつ病、躁うつ病、不安障害、適応障害、摂食障害、パニック障害、

睡眠障害、自律神経失調症、月経前症候群、統合失調症、強迫性障害など、

皆さまの抱えるこころのお悩みに対して、

心身両面からの治療とサポートを行っております。

 

 

今後とも、医療法人社団ペリカン六本木ペリカンこころクリニック(心療内科、精神科)を宜しくお願い致します。